インタビュー 2025年6月19日

駅前大橋ルートが8月開業 広島駅と中心部の架け橋に

広島電鉄 / 仮井 康裕 社長

広島駅新ビル2階に乗り入れる駅前大橋ルート(路面電車)が8月3日にいよいよ開業を迎える。駅南口と市中心部を直結し、移動が便利になり街の活性化が期待される。仮井康裕社長に意気込みや展望を聞いた。

開業目前の心境は

10年以上前に構想が動き出し、たくさんの方々の知恵と力を積み重ねながら、ようやく完成を迎える。支えてくださった皆さま、そして社員やOB・OGに心から感謝している。広島にとって被爆80年という特別な一年に、新しい線路を走らせることができる意義はとても大きい。本来は春の開業予定だったが駅ビル開業への協力などを優先したほか、習熟運転にかかる期間を考慮して後ろ倒しした。ただし、8月6日までには何とかこぎ着けたかった。

広電には忘れられない原点がある。1945年8月6日の原爆投下で街は壊滅し、電車も動かなくなった。しかし、わずか3日後。多くの人々の尽力の下、再び電車を走らせることができた。焼け跡の中を行くその姿は、復興の光となったのではないか。私もそうした広電スピリットを受け継いでいるつもりだ。今回の新線開業もまた、未来の広島に新しい希望や活気を届ける一歩になるよう願っている。

電車やバスは単なる移動手段ではない。道のりや車窓からの景色、その先で誰かと会う時間。そうした日常のひとコマに寄り添っていく存在でありたい。どうか市民の皆さまにも、街を歩き、新しい出会いや楽しみを見つけてもらえればうれしい。

外出したくなる機会づくりに力を入れていますね

持続可能な公共交通には、とても重要な観点だ。人口減少が続く中、われわれが主体的に移動を促して乗客を増やさなければならない。施設との連携イベントや沿線プロジェクトを進めるなど、外出したくなるきっかけづくりに注力。そうした仕掛けを実現するためにも、デジタル乗車券でキャンペーンや割引などを実施しやすいモビリーデイズを活用したい。来年開業予定の循環ルートで貸し切り周遊電車を走らせるアイデアなどが社内で出ており、観光振興も図る。

一方、モビリーデイズの利便性改善を求める声が上がっているが、どう対処するのか

現金チャージに関して従来は窓口まで足を運んでいただく必要があったが、8月をめどに電車やバスの車内でできるようにする。決済方法もなるべく分かりやすくしたいと考えており、JR西日本との協議などが必要なため時期は未定だが、可能な限り早期にモビリーデイズの読み取り機をイコカ決済に対応させる。5月には電車の全車両でモビリーデイズ利用者が全ての扉から降車できる仕組みを導入した。降車時の混雑や乗客の移動負担を減らし、快適な利用環境を目指している。

モビリーデイズの登録者数は5月現在28万人で、当初目標の30万人(旧パスピーのアクティブユーザーと同数)まであと一歩。ただ、導入当初の切り替え時には、窓口に長蛇の列ができ、皆さまには大変な不便と迷惑をお掛けしてしまい、申し訳なく思っている。

前3月期決算の受けとめは

営業収益は前年比10・6%増の337億円となり、4期連続で伸びた。観光客の急回復や運賃値上げの効果が大きい。しかし、運転手確保のための賃金引き上げや各種コストの増加で営業損失は14億円強に。一方、イオンタウン楽々園への土地貸しや分譲マンション引き渡しがあった不動産業に加え、駅前大橋ルートの整備や民間受注で建設業が堅調で、運行補助金を加えた純利益は前年比2倍の14億円弱となった。今期は駅前大橋ルートの開業効果や分譲マンションの引き渡しで営業収益355億円強、営業損失6億円強、純利益13億円強を予想している。

PROFILE
仮井 康裕(かりい やすひろ)氏

仮井 康裕(かりい やすひろ)氏 広島電鉄社長。1959年9月25日生まれ、広島県出身。83年入社。2002年にエイチ・ディー西広島社長、13年広島電鉄取締役呉バスカンパニープレジデント、20年常務、21年専務、24年6月から現職。

関連記事

料金プランへの誘導バナー・デザイン差し替え

おすすめ記事

斉藤メモ

関連記事は、YARPPプラグインを利用してカテゴリ・タグなどから取得して表示。
おすすめ記事は、システムフレンドさんにプログラムに組んでもらい、ユーザーがブックマークした記事やマイページにチェックしたお気に入りのカテゴリから取得(現在は関連記事を表示中)

広告
広告

人気記事一覧へ

【表示確認用ページ】 TOPページ(ログイン時)とマイページ 鍵付き記事 表示例(ログイン時) 企業年鑑|検索TOP 企業年鑑|企業ページ