こぼれ話 2025年6月18日

何事も自分次第

元気で、生涯現役が一番いい。好奇心いっぱいに好きな仕事をするから、いつまでも元気なのだろうか。むろん経済力にも左右されるが、定年後に悠々自適で家庭菜園もいい。だが、定年後に転職。仕事の経験、能力を生かし、再雇用された職場で大きく花を咲かせる人もいる。

ディー・エヌ・エー連結子会社でヘルスケア事業のデータホライゾン(西区草津新町)の顧問を務める吉原寛さん(80)は、大手製薬メーカーを退職後、関連会社などを経て63歳で同社へ転職。創業者で当時社長だった内海良夫会長から入社早々、大きな使命を託された。

「わが社はITの技術力を活用して医療分野へ本格参入したい。そのために医療関連領域のレベルアップを図ってほしい」

縁あってシステム開発会社に飛び込んだが、まったく畑違いで一体何をすればよいのか、戸惑いがあった。しかし創業者のその言葉が響いた。その日から予防医学領域の情報収集にフォーカス。いつしか会社にとって、いなくてはならない存在となった。

研究者になりたかったが京都大学卒業後、製薬メーカーでは新薬の営業を後方支援する部署などで活躍し学術部長を最後に定年。大手ならではの雇用環境や福利厚生になじんだ会社生活から一変した。退職後に医学出版、治験支援の会社に勤めたが企業文化の違いを痛烈に感じたという。

転職を重ね、ようやく縁に出会った。内海さんの目利きか、一言でやる気にスイッチが入った。まずは広島大学大学院に聴講生として1年間通い予防医学指導士、その後、健康アドバイザー、医療事務管理士、メンタルヘルス推進指導員の資格を次々に取得。

製薬メーカー在籍中は薬剤師、衛生検査技師、英語検定を、転籍後は千葉大学大学院の社会人院生として業務の傍ら研究に励み、薬学博士号を取得している。その向学心は衰えず、昨年10月には3年越しの挑戦で医療情報技師認定を受ける。医療情報システムの開発・運用・保守や情報の利活用などを推進する医療分野専門技師として居場所を見つけることができた。

「私に託された使命は何だろうかと考え続けた。当社は医療情報データを活用し、健康寿命の延伸と医療費適正化に役立てようとまい進。いまは主力のデータヘルス関連事業の中核となる糖尿病性腎症の重症化予防関連事業を重点目標としている。広島大学の予防医学指導士の講座は本来、看護師や保健師、管理栄養士を対象としているが、やる気満々ですと猛アピールし、受講にこぎ着けた。主力事業に役立つために何が必要か。そこから行動に移し、その都度にチャレンジしてきた」

社内で、生活習慣病や糖尿病などに関する基本的な知識を余すことなく伝えている。定期的に学会にも足を運び、最新の医療情報を収集。フィードバックしている。

一定の年齢を超えてからは毎年、今年で契約終了かと備えていたが、傘寿を迎えて再雇用されることになり、一番に私が驚いたと話す。現在は週2〜3日ペースで必要に応じて出社。元気だ。

定年退職後の人生をどう描き、どう生きるのか。全ては自分次第。自分で切り開く心構えと決意さえあれば、好きな道を歩むことができる。吉原さんは「若い人たちと働くと多くの学びがあり、パワーももらう」と屈託がない。さて、どうするがいいか。

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