嬉野キャラバン隊
日本三大美肌の湯の一つ、嬉野温泉で有名な佐賀県嬉野市の村上大祐市長らが来広し、5月22日のカープ対ヤクルト戦でマツダスタジアムライト側広場に特産品のうれしの茶などの試飲、販売コーナーを設け、多くのファンが押し寄せた。
2022年に西九州新幹線嬉野温泉駅が開業し、広島までの所要時間が約3時間に短縮された。以来、広島からの観光客は毎年増えているという。温泉街には足湯や公衆浴場「シーボルトの湯」などがあり、ナトリウムを多く含む重曹泉が皮膚をなめらかにする、つるつるすべすべの美肌効果で女性に人気。
名物の温泉湯豆腐のほか、うれしの茶を使った菓子の種類も豊富にある。村上市長は、 「茶畑の広がる空間で茶をたしなみ、茶農家との対話を楽しむティーツーリズムも人気を集める。〝うれしい〟があふれる嬉野へ足を伸ばしてみませんか」
人の体と土地
身土不二。人の体と人の暮らす土地は不可分という考え方が伝わる。予防医療先進国スウェーデンのバイオベンチャー企業バイオガイア社の日本法人バイオガイアジャパン(東京、野村慶太郎会長)は5月14日、産学連携を推進するための微生物学シンポジウム(未病・予防医科学共創研究所主催)で研究発表した。
2022年10月に広島大学と共同研究に着手。農業が盛んな安芸太田町は平均寿命が男性80・3歳、女性87・1歳(同町国保データヘルス計画19年1月資料)で高齢化率53%、平均年齢59歳。健康寿命と生活圏内の土壌細菌の関連性を調査し、住民の人体常在菌とのシンクロ率(同一性)や、親和性が高いほど健康寿命が長くなるという仮説の実証を目指した。
「自然と密接な暮らしをしている町民が土壌細菌に触れる生活から腸内細菌を通じてどう健康にリンクするのか。サンプリングの結果、ユニークな働きの放線菌が多く発見された一方で、病原性を持つ細菌は少なく、健康的で豊かな土壌であることを示した」(研究発表者)
同社は、免疫や便秘の予防、口臭抑制などに役立つバイオガイア社の「L.ロイテリ菌」配合のサプリの販売や歯科などへの治験データを提供。淀江晃太郎副社長は、 「発見された放線菌などの機能が健康に寄与する可能性がある。有益な微生物を利用した療法などを中区紙屋町に昨年開設したカフェBioGaiaTALKSで認知度を高めていく」 廿日市市宮内にヨーグルト工房を直営。
事業命題と社名
印刷・製本、電子書籍・ホームページ作成などを手掛けるニシキプリント(西区商工センター)は6月1日付で「ニシキコネクト」に社名変更した。
むろん情報発信の手段は印刷に限らない。近年はインターネットが急速に進展し、多様化する情報社会で大切なものは何か。障害者の働く機会創出など「つながり(コネクト)」を中心に据えて事業展開していく決意を新社名に込めた。
宮﨑真社長は、 「インターネット社会が急速に広がり、当社でもホームページなどのマルチメディア制作の引き合いが増えてきた。顧客ニーズに最適な手段を提供していくために、われわれも成長していきます」
1967年6月に創業以来、積極的に取り組む障害者の就労支援も新たな段階へ入る。就労継続支援事業所に加え、4月2日に障害者向けグループホーム「ライフサポートあおい」を開所。日常生活の自立支援を始めた。
「興味があることには誰よりも集中し、独特な感性でデザインを表現できる人も多く、障害に関わらず独自の強みを発揮している。わが社に欠かすことのできない貴重な人材。個々の能力を十分に発揮できるよう職場環境を整えていきたい」
1万枚の家族写真

写真スタジオのスタジオアイ(呉市)は1万枚の家族写真を無料で撮影したモザイクアートをつくり、5月31日からイオンモール広島府中で公開展示している。
昨年の創業90周年を機に企画した。運営する写真スタジオ全店で年間を通じて希望者を募り、無償で撮影と写真データを提供。全員が笑っている写真を選び、二つの手がハートを包み込む絵に仕上げた。デザインは「家族の愛」をテーマに生成AIが作った。
「1万件もの無料撮影は全国でも例がなく、想定を上回る反響があった。少子化やスマホの台頭で写真館の利用者が減る中、家族で写真を撮る楽しさや、自然な表情を捉えるプロカメラマンならではの技にも目を向けてもらいたい」(担当者) 近年は祖業の写真館に加え、健康寿命延伸に寄与するゴルフスクールの出店を強化。家族の幸せに貢献する事業の軸はぶらさず、新しい事業やサービスの創出に積極的に取り組みたいという。
むろん情報発信の手段は印刷に限らない。近年はインターネットが急速に進展し、多様化する情報社会で大切なものは何か。障害者の働く機会創出など「つながり(コネクト)」を中心に据えて事業展開していく決意を新社名に込めた。
工場の野良猫
現場の自主的な取り組みは時に、トップダウンではなかなか目の届きにくいところで職場改善を生むことがある。マツダは、工場敷地内にすみ着く野良猫問題を社員の創意工夫で見事に解決した。
ふん尿など衛生面の悪影響や構内を走る車との接触事故が起きており、これに声を上げた社員が2018年に保護猫活動などのグループ「ワンミャツダクラブ」を結成。捕獲した猫を避妊去勢し、元の場所に戻すことで繁殖を防ぐとともに引き取り手を探す。
次第に評価され、21年から本社の安全健康防災部門も本腰を入れて協力。累計捕獲77匹のうち52匹を施術、28匹は新しい飼い主を見付け、環境が大きく改善された。活動は里親バンク運営に発展し、累計340匹の犬猫を譲渡した。5月25日には動物愛護イベントを同社で開き、1200人が来場。クラブの荷堂美紀代表幹事は、 「里親が現れるまで社員やボランティアが世話しているが、限界がある。野良の定着と繁殖の原因になるエサやりをしない、ペットを放棄しないといったモラルが大切。幸せな共生社会の考え方を伝えていく」
広島県は16年度から犬猫の「実質的な殺処分ゼロ」という。工場の片隅で始まった行動が、その実現を確かに支えている。
ペットのそばに
霊園管理や仏具販売などの大日堂(東区温品)は、安佐南区伴中央7―3996―1の霊園「浄土苑」にペットとの共葬区画(65区画)を開設し、6月1日に案内を始めた。家族とペットが一緒に入れる墓を設けるケースが増えているという。
ペットを人数に含めた4人までの家族墓が60万円で、2人までが35万円など。全て永代供養付きで墓を引き継ぐ人がいなくなっても安心して供養できる。金山典広社長は、 「家族同然に心を通わせていたペットが亡くなり長い間、ペットロスに苦しむ人は多い。最近は共葬区画を設ける霊園も増えてきた。選択肢が増えることは良いことだと思う」