地域経済 2025年6月16日

アンデックス 初の売上60億円超へ 新本社、塗装設備などのラボを10月完成

塗装設備など産業機械製造のアンデックス(尾道市東尾道、吉田伸社長)は新幹線の整備設備をはじめとした需要の増加を受け、2025年6月期に前期比13%増の売上高61億円を見込む。初の60億円台となり、経常利益も過去最高の10億円超えを計画する。10月には現本社敷地内に新社屋を建築予定。

同社は自動車、新幹線といった車両補修用塗装設備や乾燥ブースの国内トップシェアで、全国のJRだけでなく、鉄道車両メーカーも顧客に持つ。新幹線関連設備は1960〜80年代に整備されたものが多く、全国的に更新時期を迎えており需要が高まっている。また、インバウンドなど人の往来が増えたことで車両メーカーの生産量も順調に回復。加えて近年は人手不足や働き方改革を背景に、労働環境の改善に向けた設備投資も増えている。特に塗装、溶接、研磨といった粉じんの多い作業など過酷な職場で同社の塗装ブースや集じん機の導入が進んでいるという。吉田社長は「一過性の成果にならないよう、今後は日本の新幹線の輸出先拡大を機会に市場開拓を狙っていく。また塗装を含む自動車生産ラインを工場単位で安価に売る中国などの海外メーカーに対抗するべく、難易度が高い粉体塗装向けなどを高品質で提供できるようにしたい」と話す。

広島銀行のポジティブ・インパクト・ファイナンス5億円を受けて建てる新本社は、建築面積770平方㍍に4階建て延べ2452平方㍍。1〜2階の東側372平方㍍は吹き抜け構造の1室に塗装設備や環境制御機器のラボを設置する。設備を導入したい顧客にテスト運転してもらうほか、これまで業界や自社の経験則で試算してきた塗装・乾燥の条件を正確にデータ化して提案力を強化する。また、東南アジアなど日本と異なる気候条件を再現し、その環境下でも品質試験を行うことで、顧客の海外進出先選定や製造計画に貢献したいとする。移転後の旧社屋は福利厚生施設などとして活用予定。総工費は非公開。

1971年設立。優秀な財務内容が評価され、米国格付け会社スタンダード・アンド・プアーズの「日本SME格付け」で最上位「aaa」を17年連続で獲得している。

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